診察室での蝶の羽ばたきは地域で竜巻を引き起こすか?

毒を以て毒を制すタイプの精神科医

月経前不快気分障害(PMDD)について

症状

 症状は、抑うつ、怒りの爆発、苛立ち、不安、食欲の変化(低下または亢進)、睡眠障害(不眠または過眠)など。
 怒りの爆発とイライラ感が最も耐え難い症状であり、他の症状に先行して出現する。
 症状は、典型的には生理が始まって数日で消失する。 そして、少なくとも月経開始13日目までは再発しない(ACOGのPMS診断基準より)。
 睡眠に関しては、不眠よりも過眠の方が多い。

診断基準

 診断基準としては、APAのもの(DSM)が有名。

 PMS診断基準としては、ACOGのものもある。

治療

 身体症状が主なものについては、経口避妊薬(OC)を用いる。ただし、35歳以上で、1日15本以上の喫煙をしている場合は禁忌になるので注意。精神症状には効かない可能性がある。

 精神症状が主な場合は、SSRIを用いる。米国でPMDDの適応を取得しているのは、パロキセチンパキシル®)とセルトラリンジェイゾロフト®)。
 この2剤の比較では、肝代謝酵素の阻害作用が少なく、体重増加をもたらさないセルトラリンにアドバンテージがある。
 作用機序としては、DHP←→ALLO(アロプレグナノロン)の反応経路に関わる3αヒドロキシステロイド脱水素酵素の活性を高めて右向きの反応を促進し、ALLOを増加させることが作用機転と考えられている。また、セルトラリンには、更に左向きの反応を抑制する効果も有することが示されている。  ガイドラインでは、1剤目が無効の場合は、他のSSRIへの変更がすることになっている。