診察室での蝶の羽ばたきは地域で竜巻を引き起こすか?

毒を以て毒を制すタイプの精神科医

左右差(laterality)(脳波)

私の職場の脳波記録用紙に「laterality」という項目があるんですが、ggっても あまり出てこないので、脳波界のカプランとも称される(?)臨床脳波学より引用。

 

ただし、手元にあるのが第5版で、最新版より少し古いので、その点はご了承下さい。

 

側性 / 半球優位性 / 左右差

 

α波・速波は、基本的にはほぼ左右非対称で、周波数・振幅・出現率・位相などが等しい場合が多いのですが、左右差がみられることもあるようです。

 

しかし、正常者でも脳波に左右差を示す場合があり、α波については右側の振幅が大きいとの報告が多い。

(強調は引用者)

 

臨床脳波学 第5版 p.87

 

他方、同じページの後半では「左右差が無いという報告も少なからず存在する」といった主張が紹介されています。

どっちやねん! という感じですが、ここに「laterality」という用語が登場するので引用しておきます。

 

全体的にみると、脳波には恒常的な左右差はみられないという報告も少なくない。すなわち、後頭部脳波には左右差はなく脳波と側性(laterality:半球優位性)との間には関係はない(Granville ら, 1955; Giannitrapani, 1971)、中心・頭頂部、頭頂・後頭部の脳波に左右差はなく側性とも関係ない(Butler ら, 1974)などの報告があり、Grabow ら(1979)も分析脳波のパワ値に左右差を認めていない。

(強調は引用者)

 

臨床脳波学 第5版 p.87-89

 

まとめると、 

  •  α波・速波は基本的には左右対称だが、
  • 健常者でも左右非対称になることがある。
  • その場合は右側優位のことが多い(左側優位のこともある)

ということのようです。

 

普段から、laterality を意識して脳波判読をするのが大切、ということですね。

 

 

臨床脳波学 第6版

臨床脳波学 第6版

 

 

【 書評 】精神科サバイバル! ―人薬に支えられて―

 

 統合失調症の当事者、はたよしみさんの著書。

 

とにかく、「言葉に力がある」というのが第一印象。

 

そして、精神科医療で行われている様々な処置が、当事者からするとかなり辛い仕打ちとして捉えられるというある意味当たり前のことを再認識させられます。

 

患者さんの命・安全を考えると、隔離・身体拘束を完全に撤廃するのは現状では困難ですが、少なくとも、その過程で、1人の人間としてきちんと理由をその都度説明することはこちらの努力だけでできるはずで。

 

以下の著者の言葉を胸に刻みたい。

 

一般の病院なら、何のために薬が必要なのかなど、病名や治療や薬の説明がきちんとなされるだろう。

混乱している時は、患者本人である私は理解できないかもしれない。でも、後々に「あの時、きちんと説明してくれたなぁ」と記憶のどこかに残るものである。

 

 

 

 

精神科サバイバル!  ―人薬に支えられて―

精神科サバイバル! ―人薬に支えられて―

 

 

ループ効果

 

精神医学の世界に「ループ効果」というものがあるそうで。

 

 

ループ効果とは、

 

  • 人々の分類・記述に用いることができる専門的な知識や概念や方法が日常生活に提供され、
  • 分類・記述された当の人々によって、それらの分類・記述が、引き受けられたり・拒絶されたり・書き直されたりする

現象を指している。1)日常生活のなかから、専門的な分類や概念が抽出され、名付けがおこなわれ、2)その概念が日常生活によっても引き受けられる。3)その引き受けによって日常生活に変化が起こり、専門的な概念にも影響が発生する。具体的な例としては、各種のハラスメントがわかりやすい。今「○○ハラスメント」と新たな分類がさかんに生まれているけれど、専門的な概念を与えられることで、日常生活の書き換えが盛んにおこなわれている。ここには専門的知識と日常的な社会との関連がある。

 

sekibang.blogspot.com

 

 

勉強不足で、まだ全貌は十分に理解できていませんが……。

我々が患者と対峙する時、「何を診ているのか」を常に考え続ける必要があるのだろう。

 

ビール ≒ 二日酔い

洗濯機を買った粗品としてビールをもらったので、晩に1人で飲んでみたら、次の日に二日酔いでほぼ1日を棒に振るという悲しい結果に。

 

1回目は風邪気味だったので、それが良くなかったかと思い、やや体調が良い状態で2回戦をしましたが、それでも激しい二日酔いにw

 

居酒屋ではそこまで酔わないので、恐らく飲むペースの問題(家だと、ツマミとかそんなに無いので、ジュース感覚で飲んでしまう)もあるかとは思いますが……。

 

しかし、それを検証して更に1日棒に振るのは勘弁なので、しばらく家ではチューハイ以外飲まないことにします_(:3 」∠)_

2018年 納め

今年の12月は、風邪による体調不良+粗品でもらったビールとの相性不良(激しい二日酔い、胃腸不良)に苦しんでいる間にいつの間にか年末を迎えるという大変残念なものでしたw(しばらくビールは飲みません💀)
   
体調不良になると仕事のペースが一気に落ちるところをみるに、まだまだモチベーションではなくテンションで仕事してるなーというのを実感する今日この頃です。
(モチベーションとテンションの違いについては↓のあんちゃさんの記事などを参照)

www.mazimazi-party.com


 

  
その他、最近あった気づきとしては、「自分が一番ワクワクするのは『何かをインプットしている時』」ということで、毎年「今年は情報発信だ」とか「ブログを書くんだ」とか言っている割に全く続かないのは、インプットした時点で自分自身が割と満足していて、そこからアウトプットしたいという欲が湧いてこないからじゃないかという結論に至りました😅。
 
とは言え、良質なインプットにはアウトプットが不可欠とはよく言われることで、↓ の記事みたいに、過去の自身のアウトプットを参照しながら思考を展開しているのを見ると「カッコ良ぇなー🤩」と感じるのもまた事実で、、、さてどうしたものか。

cyblog.jp


 

 
良かったこととしては、当初は不可能と思われていた(?)外来患者数を何とか時間内に診察終了することができるようになってきたこと(慣れって怖い)と、外来の増加に伴って病棟に回せる時間が減り、必要に迫られる形で看護師さんや心理士さんの力を頼りながら治療を進めるチーム医療の形が少しずつできてきたこと、などはこの半年間くらいの進歩かな、と。
(周りが同じように思ってくれているかはまた別の話ですが……)
 

 
2019年は、大学院に入ったりと、また環境が若干変わるので、その機会をうまく使って自分の成長に繋げていければなーと思います。
 
良いお年を。

Learning Pyramid

Learning Pyramid というものがありまして。

https://career-ed-lab.mycampus.jp/wp-content/uploads/2018/02/learning_pyramid-1.jpg (引用元:平均学習定着率が向上する「ラーニングピラミッド」とは? | キャリア教育ラボ

平たく言うと、他人に教えるのが一番学習に効果的、ということです。

そういう意味で、ちょっとブログでも久々に再開してみようかな、と。

参考 habi-do.com

こんていんめんと(本日の広島精神分析セミナーより)

 精神分析クライン派の考え方に「コンテインメント」という概念があるそうでございまして。

 大変難解な概念らしいのですが、今日の講義資料から断片的に引用すると、
 

“ 患者の何かが分析者の中に、少なくとも一時的に逗留(とうりゅう)しているのだと両者によって体験され、その逗留の間に治療者の心の中で変形(解毒・消化)されて、患者の心の中に戻される……この変形プロセスこそコンテインメントと呼ばれるものである ”

 


 

“ 「分析者の心が、患者の一部あるいは患者の体験の一部を迎え入れ、それをより耐えられる形へと変容し、適切なタイミングと適切な強度でもって、患者に返していく」というプロセスである。 ”

 


 

“ 投影同一化によって失われていた自分自身の心・体験を対象の心での受容と理解を通じて、新たな意味とともに取り戻す過程であるともいえるだろう。 ”

 


 

“ 患者の耐えられない心的体験・心的要素が分析者の中に一時逗留し、そこで体験され理解されたとき、患者は安堵とともにその「理解する良い対象」を内在化する。 ”

 


 
……ということのようです。
 
 正確な解釈ではないとは思いつつも、先日のイタリア医療シンポジウム(まだまとめられていない)や、べてるの家や、V.E. フランクルの著書(ようやく1冊読み終わる程度の知識)で共通して述べられていた「患者の主体性の重視」に通じるものを感じ、色々なことがつながっていっている気がします。
 
 これまで、精神分析にはどちらかと言えば父権的なイメージを持っていたのですが、どうやらそればかりではないようです。今日の講師の飛谷先生も、「精神分析とは、その人らしさを回復(発見)することだ。」とおっしゃっていました。
 
 ひとつひとつを、丁寧に掘り下げていかないといけないなーと感じる今日この頃です。