診察室での蝶の羽ばたきは地域で竜巻を引き起こすか?

毒を以て毒を制すタイプの精神科医

心と身体のスピードを合わせる。

 ラク・ハックとは、ライフハックのもじりです。
 生産性ではなく、いかに「ラクに生きるか」に焦点をあてて当事者研究をしていきます。

 今回は、気持ちばかりが焦って空回りしがちな時に、自分の中で何が起こっているのか、そして、どのような自分助けがあるのかについて研究してみました。

目次

  • 気持ちばかり焦る時がある。
  • 動作を「丁寧」に行うことの効果。
  • 心と身体のスピードを合わせる。

気持ちばかり焦る時がある。

 誰でもそうなのか、自分の特性なのかはよく分かりませんが、仕事が溜まってくると、頭の中で処理しきれなくなって、気持ちばかりが焦り始めます。
 この時に、良くないのが、気持ちを沈めようと思って、FacebookYouTubeなどをサーフィンしてしまうことです。確かに、そういうものを眺めている時は気持ちが落ち着いていますが、目の前の課題は解決していないので、そこから前向きな力はなかなか出てきません。
 そこで、もっと前向きな方法はないかと、いつもとは違う自分助けを試してみました。

動作を「丁寧」に行うことの効果。

 今回試してみた自分助けは、「動作を丁寧に行う。」ということでした。
 これは、昔読んだ禅の本からヒントを得た方法です。禅の世界には、「1つ1つの所作に集中すること、これが即ち禅である。」という考え方があるそうで、例えば、歩く時は「歩く。」という行為自体に集中する、ということです。
 これを応用して、例えば、

  • カルテを書く時に、字を丁寧に書くように心がける(電子カルテの場合は、キーを丁寧に叩くよう心がける)。
  • トイレに行く時に、立つ動作、歩く動作を、なるべく丁寧に行う。具体的には、いつもよりゆっくりと、1つ1つの動きを自覚しながら行う。

といったことを行ってみました。
 その結果、どうなったか。
 少なくとも、自分の中の「焦り」の気持ちが弱まり、逆に安心感が生まれてきたのです。

心と身体のスピードを合わせる。

 体感としては、どうやら、物事をゆっくりと行ったのが良かったように感じています。
 つまり、普段の生活の中では、心の方が先にどんどん進んでしまって、身体が置いてきぼりを喰らっている状態だったのではないか、と。そして、心がどんどん先に行ってしまって、ふと振り返った時に、身体の姿が見えなくなると、言いようのない不安に襲われてしまう。ちょうど、勝手に歩き回る子どもが、親がいないのにふと気がついて、泣き出してしまうように。
 この状態に名前を付けるとしたら、「心のスピード違反症候群、勝手に免停状態」といったところでしょうか。  逆に考えるとすると、普段から、心と身体の距離が離れすぎないようにすれば、つまり、ありがちな言葉でいえば、心に余裕を持って行動するようにすれば、今回のような、焦りは生まれにくくなるのではないかと考えています。
 焦りというのは、心のスピード違反を知らせる大切なサインだったんですね。
 
 今回の研究の成果を、しばらく試してみて、また報告しようと思います。